泌尿器科の薬でよく目にする、ハルナール、ユリーフ、フリバス
先月までハルナールだったのに、今回からはフリバスになった・・・
投薬時に患者さんに理由を聞いても
と今一つよくわかっていない様子。
ここで薬が変わることでどのような意味があるか、サクッと説明できなければできる薬剤師とは言えません!
前立腺肥大症に伴う排尿障害とは
前立腺肥大症とは、前立腺が肥大して様々な排尿の障害を引き起こす病気です。
前立腺が肥大する原因は、加齢と男性ホルモンなどの性ホルモンの変化が関与すると言われているので、誰もがなる可能性があります。
前立腺は直腸と恥骨の間にあり、膀胱の出口で尿道を取り囲んでいます。このため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫されて、排尿に関わる様々な症状を引き起こします。
前立腺肥大症では、主に
排尿症状(排尿困難をはじめとする、尿を出すことに関連した症状)
蓄尿症状(尿を貯めることに関連した症状)
排尿後症状(排尿した後に出現する症状)
がみられます。
治療方法
要は尿道の圧迫を解消してやればよいわけです。
前立腺・尿道にはアドレナリンα1受容体が存在することが分かっています。
ここの尿道圧迫の原因となっている前立腺・尿道の受容体をブロックして、尿道周囲の平滑筋を弛緩させる。
→尿道の圧迫が解消されます。
違いの解説
では冒頭の答えです。上記3つの薬をどう使い分けているのか。
薬によって作用するα1受容体のサブタイプが異なる
α1受容体にはサブタイプとしてα1Aとα1Dがあります。
ハルナール→α1A、α1D
ユリーフ→α1A、α1D
フリバス→α1A、α1D
上記のように、薬ごとにどこのサブタイプに強く作用するのかが異なっています。
ハルナールはα1A、α1D共に作用
ユリーフはα1Aに強く作用
フリバスはα1Dに強く作用
そして、この受容体のサブタイプの分布には個人差があるため、人によってこの薬が効く効かないということが生じてきます。
ドクターが「試しにこっちに変えてみましょう」というのも納得できますね!
参考
・『膀胱』にはα1D受容体が多く分布していると言われています。
このため、夜間頻尿などの膀胱刺激症状が主であれば フリバス が適していると言えます。
・『精嚢』にはα1A受容体が多く分布しているので、α1Aを強くブロックする ユリーフ を使用すると副作用として射精障害がでる可能性があります。
・たまに見かける エビプロスタット は副作用が少ないですが、効果も弱く推奨度も低くなっています。
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服薬指導をどうするか
患者さんに受容体が・・・とか、サブタイプが・・・と言ってもよくわからないと思います。
それをうまくかみ砕いて、何故変わったのか、変わることで何が期待できるのかなどを指導していただきたいと思います。
ハルナール、フリバスは1日1回、ユリーフは1日2回と用法の違い
血圧低下による立ちくらみ、めまいのSEにも注意してください。