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誰も教えてくれなかった薬価差益率と消費税【一覧表付き】

薬価差益率については、以前の記事でご紹介しました。

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ここではもう少し掘り下げて、本当にその数字で利益が出ているのかを検証したいと思います。

薬価差益率と実利益の関係

【問題】

ある卸のひと月の加重平均した薬価差益率は20%で、その月の仕入れた総薬価金額は100万円でした。

さて、実際にいくら儲けたでしょうか??

薬価差益率の計算式は、

薬価差益率(%)= 薬価差益 / 薬価 × 100

= (薬価ー仕入れ値)/ 薬価 ×100

でした。

よって薬価差益は、薬価差益率と薬価の積で求められます。

20/100 × 100万円 = 20万円    答え:20万円

とすると、これは不正解です。

薬局経営をしていく上で大切なことを忘れています。

薬価差益率には消費税が含まれていない

小売業にとって、避けて通れないものがこの消費税の問題。

この薬価差益率・薬価差というものには消費税は別としていることが一般的なのです。

薬価差益率(%)= 薬価差益 / 薬価 × 100

= (薬価ー仕入れ値)/ 薬価 ×100

つまり、この「仕入れ値」には消費税が含まれていません

現在でいうと税率10%なので、実際に必要な経費としては 仕入れ値を1.1倍したものとなります。

それでは、先ほどのクイズの答えは、薬価差益率の20%から消費税の10%を差し引いて、10%か、、、それならば

10/100 × 100万円 = 10万円    答え:10万円

とすると、これもまた不正解です。



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それでは、具体的に1つずつ計算してみましょう。

【例:薬価差20%、薬価100万円の場合】

薬価 納入価 対薬価% 薬価差 薬価差%
¥1,000,000 ¥800,000 80 ¥200,000 20

これに消費税(10%)を考慮すると以下の数値になります。

薬価 税込納入価 税込対薬価% 税込薬価差 税込薬価差%
¥1,000,000 ¥880,000 88 ¥120,000 12

つまり、消費税を考慮した薬価差(%)は 12% となり、単純に20%から10%を差し引いたものとはならないことがわかります。

え?! 薬価には消費税はかからないの? そうです。薬価には消費税は別途かからないのです。これが計算をややこしくしているのです。

ポイント

・薬の仕入れには消費税がかかる(卸など仕入先に消費税を払う)

しかし、薬価にはかからない(患者からは消費性をとれない)

・薬価差益を考えるときは、消費税のことも考えよ!

結局いくら儲かるのか

例えば、薬価差益率15%の時、20%の時、30%の時、薬価にしていくら分購入すれば、いくらの利益が出るのか、、、その感覚を持つことはとても大切です。

先ほどの計算式を一般化して考えてみます。

薬価 納入価 対薬価% 薬価差 薬価差%
A/B×100 B-A (B-A)/B×100

これに消費税(10%)を考慮すると以下の数値になります。

薬価 税込納入価 税込対薬価% 税込薬価差 税込薬価差%
1.1×A 1.1×A/B×100 B-1.1×A (B-1.1×A)/B×100

薬価差(%)税込薬価差(%)の差は

=(B-A)/B×100 - (B-1.1A)/B×100

=100-100A/B - (100-110A/B)

=110A/B-100A/B

=(110-100)A/B

=10A/B

=10×対薬価(%)/100

=対薬価(%)/10

={100-薬価差(%)}/10

つまり、薬価差 Y% の仕入れをしたのであれば、税金を考慮した利益率は Y-(100-Y)/10 となる。

冒頭のクイズに当てはめると、

20-(100-20)/10

= 12 %

よって、12/100 × 100万円 = 12万円   答え:12万円の利益

 

薬価差がY%のものは、税込薬価差がY-(100-Y)/10 %になり、その利益を一覧表にしたものが下記となります。

購入薬価金額に対する利益(万円)
薬価差% 税込薬価差% 100万円 150万円 200万円 300万円
1 -8.9 -8.9 -13.35 -17.8 -26.7
2 -7.8 -7.8 -11.7 -15.6 -23.4
3 -6.7 -6.7 -10.05 -13.4 -20.1
4 -5.6 -5.6 -8.4 -11.2 -16.8
5 -4.5 -4.5 -6.75 -9 -13.5
6 -3.4 -3.4 -5.1 -6.8 -10.2
7 -2.3 -2.3 -3.45 -4.6 -6.9
8 -1.2 -1.2 -1.8 -2.4 -3.6
9 -0.1 -0.1 -0.15 -0.2 -0.3
10 1 1 1.5 2 3
11 2.1 2.1 3.15 4.2 6.3
12 3.2 3.2 4.8 6.4 9.6
13 4.3 4.3 6.45 8.6 12.9
14 5.4 5.4 8.1 10.8 16.2
15 6.5 6.5 9.75 13 19.5
16 7.6 7.6 11.4 15.2 22.8
17 8.7 8.7 13.05 17.4 26.1
18 9.8 9.8 14.7 19.6 29.4
19 10.9 10.9 16.35 21.8 32.7
20 12 12 18 24 36
21 13.1 13.1 19.65 26.2 39.3
22 14.2 14.2 21.3 28.4 42.6
23 15.3 15.3 22.95 30.6 45.9
24 16.4 16.4 24.6 32.8 49.2
25 17.5 17.5 26.25 35 52.5
26 18.6 18.6 27.9 37.2 55.8
27 19.7 19.7 29.55 39.4 59.1
28 20.8 20.8 31.2 41.6 62.4
29 21.9 21.9 32.85 43.8 65.7
30 23 23 34.5 46 69
31 24.1 24.1 36.15 48.2 72.3
32 25.2 25.2 37.8 50.4 75.6
33 26.3 26.3 39.45 52.6 78.9
34 27.4 27.4 41.1 54.8 82.2
35 28.5 28.5 42.75 57 85.5
36 29.6 29.6 44.4 59.2 88.8
37 30.7 30.7 46.05 61.4 92.1
38 31.8 31.8 47.7 63.6 95.4
39 32.9 32.9 49.35 65.8 98.7
40 34 34 51 68 102
41 35.1 35.1 52.65 70.2 105.3
42 36.2 36.2 54.3 72.4 108.6
43 37.3 37.3 55.95 74.6 111.9
44 38.4 38.4 57.6 76.8 115.2
45 39.5 39.5 59.25 79 118.5
46 40.6 40.6 60.9 81.2 121.8
47 41.7 41.7 62.55 83.4 125.1
48 42.8 42.8 64.2 85.6 128.4
49 43.9 43.9 65.85 87.8 131.7
50 45 45 67.5 90 135



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この一覧表からみて分かるように、薬価差が10%にて初めて利益がでることがわかります。

薬価差8% だから 100万円×0.08=8万円の利益だヤッターとか言っている場合ではありません。消費税を考慮すると12,000円の赤字です。

薬価差が10%、15%、20%など節目の数字に対する税込薬価差益率くらいは、経営者なら暗記していて当然でしょう。

ひと昔前に比べると、薬価差益で儲けることはとても難しくなってきました。

特に多店舗展開しているチェーン薬局なら、大量購入により卸とも交渉できるかもしれませんが、個店の薬局経営であれば、薬価差益がでないといっても過言ではありません。

その中で1円でも利益がでるように、仕入れを工夫しなければなりません。薬局はサービス業であると同時に小売業です。安く買って、高く売るが小売業の基本ですが、、薬価が定められているので高く売ることはできません。そう、安く買うに尽きるのです。

ポイント

薬は安く買え。税金を忘れるべからず…

  • B!