現場で役立つ 薬局経営

儲かる後発品はどれ? 数字で選ぶ後発品

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薬局運営をする上で忘れてはいけないのが、薬価差益です!

この記事では、どの仕入先からどの薬を選べば最も利益がでるのか? 選定基準となるポイントを解説します。

『薬価差益』とは

その言葉の通り、薬価との差額による利益のことです。

薬には国が決めた価格(薬価)が設定されています。この価格はだいたい2年毎に改定され、ほとんどの品目が微減していきます。

調剤薬局は保険請求をする上で、この薬価以上の金額を請求することはできません。つまり、この薬価が最終売買価格であり、小売業でいうところの“定価”ということになります。

そして卸などからの仕入れ値が“原価”になります。

つまり、

『利益』=『定価』ー『原価』

『薬価差益』=『薬価』ー『仕入れ値』

別の言い方をすれば、

『粗利益』=『売上』ー『売上原価』

ということになります。

儲けたいのなら(差益を出したいなら)、

できるだけ薬価の高いものを採用し、できるだけ仕入れ値が低い仕入先を選べばよい!!

『薬価差益率(%)』とは

しかし、ここで問題となってくるのは利益は、「薬価」と「仕入れ値」の2つのパワーバランスによるということです。

異なる2つの薬のどちらかを採用したいと検討しているとき、どちらを購入すればよりお買い得なのか? いまいちピンとこない理由はここにあります。

例えば、

A 薬価が1錠100円する薬を100錠仕入れた場合、仕入れ値が9,900円の時と、

B 薬価が1錠50円する薬を100錠仕入れた場合、仕入れ値が4,920円であった場合

どちらがよりお得な買い物と言えるでしょう??

先ほどの薬価差益の計算式に当てはめて計算すると、Aの利益は100円 Bの利益は80円となり 利益としてはAの方が大きくなります。

ただ、Aは9,9000円も支払ったのに利益が100円しかない。それに対し、Bは4,920円支払って、80円の利益が出ている。

仮に、BをAと同じ9,900円分購入すると利益は約160円となり、Aよりも利益が出ることになります。

つまり、利益はAの方がでるが、利益率はBの方が良い(お買い得)ということになります。

 

ここで出てくるのが、薬価差益比率(%)という考え方です。

調剤薬局で仕事をしていると、よく薬価差が何%とかなんたら聞くことがあります。

これは、薬価に対して薬価差益が何%なのかという比率のことです。

つまり、

薬価差益率(%)= 薬価差益 / 薬価 × 100

= (薬価ー仕入れ値)/ 薬価 ×100

この数値が大きいほど利益率が高い、つまりお買い得であると言えます。

異なる2つ以上の薬を比較するときは、主にこの薬価差益比率での比較を行います。

お買い得かどうかは薬価差益比率(%)で判断する!



薬価と薬価差益比率から薬価差益を計算する

薬の見積もりを取るときなどに、「この薬は何%引きだ」という表現が使われます。

この数値が大きいほどお買い得であることは上の記事で述べた通りです。

しかし利益が欲しいのも事実。

お金に余裕があれば、金銭的支出が多くても(多少割にあわなくても)利益が出る方がよいという経営者もいます。

実際の薬価差益の計算式は先に述べた計算式を用いると、以下のようになります。

薬価差益 = 薬価 × 薬価差益比率(%) / 100

これからわかるのは、

儲けたいのなら(薬価差益を出したいのなら) できるだけ薬価の高いものを採用し、薬価差益比率の大きいところから仕入ればよい!!

薬価差益を考える(薬価が同じ場合)

薬価が同じ場合の薬価差益の考え方をみてみましょう。

例 100錠を購入した場合

レバミピド錠100mg「あすか」 薬価 10.1 薬価差益比率 18%
レバミピド錠100mg「サワイ」 薬価 10.1 薬価差益比率 20%

薬価差益は、薬価と薬価差益比率の積から計算できます。

同一薬価の場合は計算するまでもなく、薬価差益比率の大きい「サワイ」の方が薬価差益が出るということがわかります。

このように同一薬価のもの(ジェネリック医薬品のメーカー違いなど)で薬価差益を出したいと考えるのであれば、薬価差益比率が一番大きいものを採用すればよいということがわかります。

薬価差益を考える(薬価が異なる場合)

薬価が異なる場合の薬価差益の考え方をみてみましょう。

例 100錠購入した場合

アムロジピン錠5mg「クニヒロ」 薬価 10.1 薬価差益比率 40.5%
アムロジピン錠5mg「ケミファ」 薬価 15.2 薬価差益比率 40.5%

このように薬価が異なり、薬価差益率が同じ場合は薬価の高い「ケミファ」の方が薬価差益が出るということがわかります。

それでは次はどうでしょうか。

例 100錠購入した場合

アムロジピン錠5mg「サンド」 薬価 10.1 薬価差益比率 64.3%
アムロジピン錠5mg「サワイ」 薬価 15.2 薬価差益比率 53.4%

薬価も薬価差益率も異なる場合は、薬価差益比率が大きい「サンド」の方がお買い得であることは分かりますが、薬価差益は計算してみないと分かりません

サンド  10.1 × 100錠 × 0.643 = 649.43円

サワイ  15.2 × 100錠 × 0.534 = 811.68円

この場合は「サワイ」の方が差益がでることがわかります。

さて、お気づきでしょうか? 多くの薬剤師が見落としている事実。

ジェネリック医薬品どうしでも薬価が違うという事実!!


後発品のメーカーを選定するポイント

さて、ここで本題です。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)の比率を下げないためにも、どこかしらのメーカーの後発医薬品を採用しているかと思います。

採用比率のポイントは以下の記事を参考にしてください。

【後発医薬品調剤体制加算】を最低限の努力で算定する方法

令和2年4月1日施行 改正版 目次1 後発医薬品加算とは1.1 概要1.2 置き換え率計算方法1.3 医薬品の分類を整理してみよう1.3.1 (1)後発品がない先発品1.3.2 ☆ 後発品と同額以下の ...

続きを見る

ここでは、ジェネリックメーカーの大まかな選定基準について考えてみます。

① 門前医院の意向

② 品質の担保

③ 安定供給

④ メーカーの情報提供

⑤ 後発品メーカーの知名度

⑥ 先発品との類似性(デザイン)

⑦ AG(オーソライズドジェネリック)

⑧ 薬価差が最も出るもの!

そう、この記事は⑧の薬価差益が出るもの!を中心に考えて書かれています。

利益が出れば、あとはなんとかなる!という経営者のための記事です。

ここまで順に読み進めれば、もうお分かりかと思いますので、結論を述べます。

薬価差益を出したいのであれば、、、

ⅰ 薬価が同じ ⇒ 薬価差益率が大きいものを選ぶ

ⅱ 薬価差益率が同じ ⇒ 薬価が高いものを選ぶ

ⅲ 薬価も薬価差益率も異なる ⇒ 実際に計算してみて判断

ⅲの大小判断の計算式は簡単です。

Aの薬価を α 薬価差益率を x

Bの薬価を β 薬価差益率を y   とすると

αx と βy  とそれぞれの積の比較でおわりです。

後発メーカーを選定する際は、薬価差益率だけではなく、必ずその薬価もチェックしてください。

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