薬局で目薬(点眼薬)をもらうとき、ドラッグストアで購入するとき、もれなく目薬を保存する用の袋がついてきます。
経験的にこれは必要なものだと認識し、この袋にいれて保存している方も多いでしょう。
しかし、これ本当に必要でしょうか?
薬局によってもこの目薬(点眼薬)の保存袋の対応は様々です。
目次
目薬(点眼薬)の袋の役割
主に3つあります。
・携帯用持ち運びのため
・外気やほこりを防ぐため
・光を遮断するため
おそらくメインの役割は3番目の遮光でしょう。
目薬が電気の光や、太陽の紫外線にさらされると、その有効成分が変化する可能性があるからです。
点眼薬の種類
そもそも点眼薬には、遮光保管の規定があるものとそうでないものがあります。
遮光保管のものは当然遮光の点眼袋が付いてきますが、そうでないものも透明な袋が付いてくることがあります。
薬局における点眼袋の対応
今までたくさんの薬局に出入りしてきましたが、点眼袋の対応は何パターンかに分かれていました。
その会社の方針なのか、管理薬剤師の指示なのか、なんなのかはよくわかりませんが以下に記載します。
ひとつずつ点眼袋に入れて封をし棚にセットする
どの薬局も処方せんを受け付け、それに基づいて薬を集めます(調剤)。
この調剤行為を速やかに行うために、薬を棚や引き出しにセットします。
点眼薬の場合、卸から入荷された時点で箱から開封します。この時点では点眼袋は付属しているだけで、最初から点眼薬が点眼袋に入っているわけではありません。
ここで、薬局の薬剤師がひとつずつ点眼袋に入れ、空気を抜いて封をして棚にセットします。(さらに5個ずつ輪ゴムで束ねるところもある)
私も新人の頃はよくやらされました。
その時いつも思っていました。「これ、面倒くさい!薬剤師のやる仕事か?」
理由は3つありました。
① 調剤、監査、投薬のスピードが本当に改善できているのか?
調剤行為だけに限って言えば、棚から点眼薬と点眼袋をその個数分取り出すよりは、点眼袋に入っている点眼薬をピックする方が速いと言えます。
ただ、薬剤師の全体の時間としては点眼袋に空気を抜いて入れる時間があるため、トータル時間は多いか変わらないでしょう。(むしろ新人薬剤師のストレスでしかない)
点眼薬の数だけでなく、調剤時に点眼袋の数を数えることは、ピッキングミス防止にもつながり調剤行為の一つとして大切です。
さらに、監査時に点眼袋に入っていたら、その中身が本当に処方通りのものか確認するために点眼袋から一つずつ出して確認をしなければなりません。(透明な点眼袋を除く)これも時間とストレスがかかります。
投薬時も患者さんに、点眼薬を見せながら渡すことが原則です。この時も点眼袋から一つずつ取り出さなければなりません。
② 患者の多くは高齢者である
点眼薬を使用する患者の多くは高齢者です。(白内障、緑内障、ドライアイなど)
手先も自由に動かず、力が入らない方もいるでしょう。
それなのに、点眼薬をご丁寧に一つずつ点眼袋に入れ封をされた状態で渡されたら、どう感じるでしょうか?
毎日使用するのに、固く封をする必要があるのでしょうか?
患者さんには、点眼袋の役割をしっかりと説明し理解してもらうことが大切です。
③ そもそも遮光保管の規定がない
なぜ遮光保管の規定がない点眼薬を遮光でない透明な点眼袋に入れる必要があるのか。
以上3つの理由により、私が管理者になった暁には絶対にこの問題は改善してやろうと考えていました(笑)
点眼薬と点眼袋は別で渡す
これをやっている薬局の方が少ないように思います。
上記で記載した、ひとつずつ点眼袋に入れる行為の無駄を排除した薬局がこの方法を採用しているようです。
薬剤師は薬を正しく使用し、最大限の効果を発揮できるよう患者に説明する義務があります。
点眼薬を点眼袋に入れて患者さんに渡す行為は、患者さんにその義務を果たしていると言えるでしょうか?
遮光保管するその意味と重要さを理解してもらっているでしょうか?おそらく何の説明もなく、ただ渡しているだけでしょう。
点眼薬と点眼袋は別で渡して(同じ薬袋に同封)、点眼袋の役割をしっかりと説明する。その上で患者さんがそのライフスタイルにあわせて使用方法を決める、これこそが患者さんに寄り添った方法であると考えているようです。
例えば、常に家にいて点眼薬をお気に入りの暗所に保管している患者さんは、特別にこの点眼袋を使用する必要は無いからです。
点眼薬のみ渡して、点眼袋はご自由にどうぞ
この薬局はかなり強気です。
投薬台の横に大量の様々な種類の点眼袋を置き、「ご自由にお取りください」としている。
確かに、目薬の袋ってたくさんあってもその全ては必要ないでしょう。
以下の処方で考えてみましょう。
カリーユニ点眼 10本 1日4回 両目
このような処方があったとします。
果たして、この点眼袋10袋も必要ですか?
1日4回両目だと、2週間もたてば1本無くなってしまいます。
地球環境問題を考えるに、これは無駄と言えそうです。
ただ、やはり遮光という観点からは少し気になるところですし、投薬台のスペースが点眼袋に占められるというデメリットもあります。
最近は点眼容器が改善され、そもそも遮光であることからわざわざ遮光袋に入れる必要がないものもあります。
また遮光の規定が無い点眼薬については、点眼袋は患者さんによってはゴミになるかもしれません。強制的にゴミを渡すのもどうなのかと…
まとめ
薬剤師が薬をどのような形で患者に渡すのか、これは薬局の方針や薬剤師個々の考え方に影響を受けるところです。
遮光保管の規定がある点眼薬と、そうでないものによってもその対応が分かれるでしょう。
今回は目薬の袋について考えてみましたが、患者さんに寄り添った考え方ができない薬剤師は淘汰されていく流れにあります。
ただ薬を適切に説明するだけではロボットでもできます。今後AIに取って代わられてしまいます。
そうならないように我々薬剤師は常にリスクとベネフィットを考え、個々の患者にあわせて服薬指導をしていかなければなりません!